コラム・お知らせ
2022.1.16
のうたいぶくろ-納体袋とはどんな時に使い、価格はいくらなのか?
のうたいぶくろという言葉を聞いた事があるでしょうか?
もしかしたら新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ニュースなどでその名前を聞いた事がある方もいらっしゃると思います。
のうたいぶくろとは、漢字で書くと「納体袋」と書きます。
つまり、読んで字の通り人の身体を収納するための袋になります。
では、どんな時にこの袋が必要になるのでしょうか?また、のうたいぶくろにはどんな意味や役割があるのでしょうか?
そして価格はいくらくらいの物なのでしょうか?
この記事では、現場の葬祭ディレクターだからこそ言える、のうたいぶくろの本当の役割や価格などについて解説しています。
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目次
のうたいぶくろ-納体袋とはどんな物なのか?
納体袋とは、その名の通り体を納める袋になります。
ただし、実際の用途としては、ご遺体(死体)を納める袋になります。
横60cm~100cm、縦200cm~250cm程の袋で、上面の中心または左右に寄った位置に、縦方向にファスナーまたはチャック(ジッパー)が付いています。
色はほとんどの商品が黒、またはグレーです。
我々葬儀の専門家が使うグレードの納体袋の場合、持ち運びし易いように左右3か所ずつ、合計6か所ほど持ち手が付いた商品が多いですが、まったく持ち手のない袋だけの物もあります。
袋の材質は主にビニールですが、人間を入れて大丈夫なくらいの強度が必要なため、ある程度の厚みや、素材自体も単なるビニールではなく丈夫な物が使われている商品が多いように思います。
のうたいぶくろの価格は?どこで購入できる?
近年はインターネットでどんな物でも購入できる時代です。
のうたいぶくろのような特殊な商品でさえ、今はAmazonや楽天でも購入できるようです。
検索してみた結果によると、遺体用納体袋は一つあたり数千円前後で購入できるようです。
もちろん、基本的に価格は品質に直結していますので、どんな用途で納体袋を使うかによって、数千円の物でも良い場合もあるでしょうが、そうした安価な納体袋を我々プロが使うことはありません。
ちなみに、我々葬儀専門業者が使う納体袋は仕入価格でさえ15,000円~20,000円くらいします。
お客様に我々が納体袋だけを販売することはまずありません。
そのため、我々からの小売り価格というものは提示できませんが、納体袋を必要とするお客様が負担する金額は、数万円程度と思っていただくと良いでしょう。
まとめますと、納体袋の価格は次のようになります。
①品質を無視すれば数千円程度
②葬儀社目線で必要な品質の納体袋は15,000円~20,000円(仕入価格)
のうたいぶくろ(納体袋)の実際の用途とは
ここまで、納体袋についてどんな物なのか、そしてどれくらいの価格の商品なのかについて解説してきましたが、そもそも納体袋を使うのはどういった時なのでしょうか。
実際の納体袋の用途についてご説明したいと思います。
近年は新型コロナでお亡くなりになった方を病院から搬送する時にも使用されています。
そのため、納体袋とは感染症で亡くなられた方の遺体を入れる物、と認識している方も多いかもしれません。
しかし、葬儀業界において納体袋とは、次のような事例の場合に用いられています。
- ①損傷が激しいご遺体の場合
- ②警察案件
- ③伝染病のご遺体
それぞれ詳しく説明します。
①損傷が激しいご遺体の場合
我々葬儀社が納体袋を使用する場合のほとんどが、この①損傷が激しいご遺体のケースです。
つまり、普通にご遺体だけで搬送したり布団に安置しておくことが難しいと判断するほど、遺体の状態が悪い場合に使うものということです。
具体的には、焼死体、腐乱死体、事故などでバラバラになった死体が該当します。
例え自然死でない(自殺など)の場合でも、ご遺体の状態が綺麗であれば、納体袋を使うことはありません。
綺麗かどうかの判断は、「ご遺族にそのまま見ていただけるか?」「腐敗臭がきつくないか?」が判断材料になります。
ちなみに、どれだけ高性能な納体袋を使用しても、完全密閉できるタイプの物以外、腐敗臭の漏れを完全に抑えられる商品はほとんどありません。
納体袋の性能が悪いというより、それだけ腐敗臭が強烈だということです。
なお、完全密封できるタイプの物としては、数年前くらいから全面をヒートシールするタイプの物が販売されていますが、これであれば比較的匂いや体液の漏れ出しは防げるように思います。
※業界の展示会で説明を受けただけで、実際に使った事がないので詳細は不明です。
一方で、完全密閉することによってかえって危険な場合もあります。
それは、腐敗ガスの発生によって納体袋が膨張し、爆発の危険があるということです。
すぐに凍結に近い温度で冷却すれば大丈夫だと思いますが、そうした施設や保冷剤がない場合は、完全密封しない方が良いケースもあります。
②警察案件
警察案件の場合も、①と同様に「遺体の状態」による場合が多いのですが、警察が検死を行う場合は、たいていの場合ご遺体は裸です。
自宅で自殺された方なども、検死のために衣服は脱がせてしまいますので、裸である場合が多いです。
※自宅で検死された場合は、納体袋を使わないケースが多いです。
事故・事件の場合などで遺体が一旦警察署に搬送されたようなケースですと、納体袋を使うケースが多いように思います。
なお、警察案件の場合は納体袋を警察が用意していることも多くあります。
※地域によって異なります。
警察案件の場合、警察の安置所または死亡された場所に裸の状態で遺体が安置され、納体袋に入っていない場合は警察が用意した毛布にくるまれていることが一般的です。
そうしたご遺体は、その毛布のままご遺体を納体袋に納めて搬送し、後に棺に入れて火葬されるのです。
③伝染病のご遺体
納体袋は、前述したように「通常ではない状態のご遺体」を搬送する場合に用いられることが一般的ですが、伝染病に罹患された方のご遺体を搬送する場合にも用いられます。
最近の事例ですと、新型コロナでお亡くなりになった方のご遺体が、そうした対応になります。
特にこの伝染病のご遺体を納める納体袋は、相応の品質の納体袋が必要となりますので、インターネットショッピングで簡単に購入できる数千円程度の納体袋では対応できません。
のうたいぶくろ-納体袋を使うのは主に警察と葬儀社
前述までの内容をご覧いただければ、納体袋を使うのは主に葬儀社と警察くらいだということがお分かりいただけると思います。
実際に、我々以外に納体袋を日常的に使用している所はあまりないと思います。
※我々葬儀社も日常的に使用しているわけではありませんが。
もし葬儀社や警察ではない一般の方が納体袋を購入するとしたら…
それは刑事ドラマに出てくるような用途の時くらい、かもしれませんね。
のうたいぶくろについてのまとめ
この記事では、のうたいぶくろ(納体袋)について、実際の用途や価格など詳しく解説してきました。
簡単にまとめますと、
納体袋はご遺体を納める袋で、かつ、そのご遺体は通常の遺体でないことが多い。
納体袋の価格はネットで購入できるようなタイプだと数千円程度であるが、葬儀専門業者が使う品質の納体袋は15,000円~20,000円程度の仕入れ価格。
また、少し補足になりますが、納体袋に入ったご遺体は、通常袋から出して棺に入れるのではなく、納体袋のまま棺に入れて火葬をします。
そのため、火葬しても有毒ガスなどを発生させない素材で作られている商品が一般的です。