コラム・お知らせ
2022.3.12
霊柩車は自家用車で代用しても大丈夫なの?実際にやった人はいる?
火葬場に遺体を載せて向かうときには、通常は霊柩車を使用します。
霊柩車には、今ではあまり見かけなくなりましたが、豪華な装飾がついた宮型霊柩車というものから、最近主流のバン型の洋型霊柩車、そして費用を抑えた場合によく用いられるミニバン型の霊柩車といった、様々な霊柩車があります。
いずれにしても、火葬場に向かう際に遺体を運搬する車として、種類はさておき霊柩車を使うという意識の方がほとんどなのではないでしょうか。
では、火葬場に遺体を運ぶのに、自家用車ではいけないのでしょうか?
最後は愛着ある自家用車で運んであげたい、また、費用を抑えたいといった理由で自家用車を考える方もいらっしゃると思います。
最初に結論を申し上げますと、遺体を運ぶのに自家用車を使用することは「法律上」問題はありません。
そして実際に実施した人がいるかどうか?については、「筆者の知る限り聞いたことない」が回答になります。
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目次
霊柩車は自家用車でも良いのか?法律的にも大丈夫?
前述した通り、霊柩車の代わりに自家用車を使用することは、法律的には問題ありません。
葬儀社や霊柩車業者が「ダメです」と言うのは、「自家用車で遺体を搬送して料金をもらうことはダメ」という意味になります。
つまり、自分の身内の遺体を自分の自家用車で運ぶ分については問題はないのです。
ちなみに葬儀社や霊柩車業者は、寝台車や霊柩車を陸運局に登録して緑ナンバーを取得しています。
種別としては貨物と同じです。
また、霊柩車や寝台車を運転するのには特別な免許は必要ありません。
普通免許があれば誰でも運転することができます。
ただ、繰り返しになりますが、正式に届出をした緑ナンバーの霊柩車や寝台車でなければ、お客様から料金をいただくことはできないのです。
「だったら自家用車を霊柩車として使っても問題ない」と思われる方もいらっしゃると思いますが、基本的にはその通りです。
ただし、実際に霊柩車に求められる機能を満たしていなければ、現実に自家用車を霊柩車として使用することは不可能と言えるでしょう。
次の項目で、霊柩車に必要とされる機能について詳しく解説していきます。
霊柩車に必要とされる機能とは
霊柩車に必要とされる最重要機能は、「棺を載せられること」になります。
ほとんどの火葬場は、遺体をそのままの状態では受け入れてもらうことは出来ず、必ず棺に入っている状態でなければいけません。
心理的な問題はさておき、棺におさまっていない状態では、火葬場内の移動も困難になりますし、火葬炉に入れる際の台車への移し入れなども出来ません。
火葬場によって色々なケースがありますが、霊柩車が火葬場に到着してからの流れは次の通りです。
①霊柩車の後部に火葬場の台車を接近させる
②霊柩車から火葬場の台車に棺を移す
③火葬場の台車で火葬場の火葬棟に移動し、最後のお別れをする
④火葬炉前に台車を移動し、火葬炉に棺を納める
⑤火葬を始める
今は多くの火葬場で電動の台車を使用しており、霊柩車の棺の高さまで台車のアームを上げ下げして棺を移し替えますし、火葬炉に収納する際も同様に電動の台、またはアームで棺を移し替えます。
こうしたことも含め、火葬場は「棺に入った状態」でないと受け入れてくれないのです。
ですから、霊柩車に求められる機能として一番重要なことは、「棺を載せることができる作り」と言えるでしょう。
さらに、霊柩車は棺を出し入れする訳ですから、棺を収納する部分にはローラーがついており、棺の出し入れを容易にしています。
また、走行時に棺が前後左右にズレたりしないように、ストッパーも必要です。
もちろん、故人の最後の旅立ちにふさわしい荘厳さや、同乗する遺族が不快に思わない内装や乗り心地も備わっていればより良い霊柩車と言えるでしょう。
霊柩車を自家用車で代用するのは実質的にムリ?
霊柩車を自家用車で代用することは、前述の条件を満たそうと思うと、実際には難しいというのが現実なのではないでしょうか。
ほとんどの自家用車では、実質的にムリと言ってしまっても良いと思います。
その理由として、まず標準的な棺のサイズがあげられます。
棺は、遺体を収納するためのものですが、多くの体のサイズに合わせるために、多少大きめに作られています。
標準的なサイズの棺で、長さが1900ミリ、幅が600ミリ、高さが500ミリといったサイズになります。※メーカーによって多少異なります。
このことから、まずセダンやクーペタイプの自家用車には物理的に入りません。
ワゴンタイプの車両であれば入る可能性がありますが、かなり車種が限定されると思いますし、リアシートをフルフラットにしつつ、助手席を一番前に出してハッチバックが閉まるかどうかギリギリといった感じになってしまう事が多いと思われます。
つまり、一般的な自家用車では、普通に棺を載せることは難しいと思った方が良いでしょう。
一方、ハイエースなどの商用ベースのバンの場合は、多くの車種で棺を載せることができると考えられます。
最近はアウトドアなど趣味ごとに対して利便性の高いバン型の車両を自家用車としている方もいらっしゃいますので、そうした車両であれば、自家用車を霊柩車として使用することは難しくないと思います。
ただし、棺は2メートル近くの長さの箱になりますので、荷室の状態によっては積載できない可能性もありますので、もしそうした自家用車を霊柩車として利用しようと考えているのであれば、上記の棺サイズに少し余裕を持ったスペースがあるか確認するようにしましょう。
自家用車を霊柩車としてどうしても使いたい場合の方法とは
では、仮にあなたがハイエースやキャラバンのような商用タイプの自家用車を有していたとして、その車を霊柩車として利用したいと考えた場合に、どのような事に注意すれば良いのか解説していきます。
まず必要なのは、人手です。
ご遺体が納められた棺は、そのご遺体の体重+棺の重さとなりますので、結構な重量です。
ご遺体が一般的な体重の男性であれば、65kg~70kgといったところでしょうか。
身長が高かったり、肥満体形の方であれば、もっと重いかもしれません。
その重量プラス、棺の重さになります。
棺の重量は、メーカーやグレードによって大きく異なりますが、見た目から受ける印象より軽く作られています。
これは、火葬の際に燃えやすいように作られているためです。
とは言え、20kg前後の重量になりますので、ご遺体と合わせると結構な重さです。
これをローラーがついていたり、出し入れしやすい高さになっている霊柩車と違い、滑りが悪いフロアー素材であることが多い自家用車に載せるのは、かなりの重労働です。
そのため、最低でも男性で4名ほどの人手が必要と考えておくと良いでしょう。
そして次に必要なのは、車両への処置です。
棺が移動中に動かないように、滑り止めシートを下に敷くか、ベルトで固定するなどの処置をしておくと良いでしょう。
滑りやすいフロアーでなければ、棺とご遺体の重量がありますので、急な加減速やカーブなどがなければ動くことはないと思いますが、事故等に巻き込まれることもあり得ます。
棺が動いてしまい、車両の内装に傷をつけたり、運転手の運転の妨げになったりすることがないように対策しておきましょう。
もう一点気を付けておく必要があることは、棺(ご遺体)から体液が漏れ出てきて車両に付着するかもしれないという点です。
一般的には棺の内部に防水用のビニールが貼ってあることが多いのですが、これが破れていたり、また、そもそも貼られていない場合は、そうした心配もありますので注意が必要です。
霊柩車を自家用車で代用する場合、火葬場にも人手が必要
さて、色々な問題をクリアーして自家用車で棺を積んで火葬場に到着しましたら、今度は棺をおろして火葬場の台車に載せなければいけません。
この作業も、やはり男性が4名程度は必要になると思われますので、必ず火葬場にそれだけの人員で行くようにしてください。
なお、火葬場の職員は手伝ってくれないと思った方が無難です。
また、あまり柔軟ではない火葬場職員であった場合は、怒られる可能性もあります。
そして、特に都市部の火葬場の場合、次から次へと霊柩車が到着してきますので、ゆっくり作業している訳にはいきません。
あなたが手間取っていると、次の火葬の予定の方にご迷惑をおかけすることになってしまいます。
霊柩車は自家用車で代用しても大丈夫か?についてのまとめ
いかがでしたでしょうか。
霊柩車は自家用車で代用しても大丈夫かについて解説してきましたが、「あまり現実的ではない」と思われた方が多いのではないでしょうか。
実際、筆者が知る限りは火葬場まで自家用車で棺を運ばれた方はいらっしゃいません。
もちろん、全国探せばどこかで事例としてあるのかもしれませんが、物理的にも手間的にも、あまりお勧めできる方法ではないことがお分かりいただけたと思います。
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