コラム・お知らせ
2021.11.24
遺体を棺に納める納棺の儀とは?手順や知っておいた方が良いこと。
皆様はお葬式の経験がおありでしょうか?
葬儀の時に、大切な家族の遺体を棺に納めた経験がある方もいらっしゃると思いますが、もちろん、未経験の方も多いと思います。
この記事では、遺体を棺に納める儀式、「納棺の儀」について詳しく解説していきたいと思います。
納棺には手順があり、また、今はいくつかの種類があります。
そうした種類の違いも理解することで、いざと言う時に葬儀社の勧めや説明が理解しやすくなると思います。
この記事では、遺体を棺に納める納棺について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
なお、メモリアルホール川名は名古屋市昭和区の葬儀社ですが、この記事でご紹介する内容は、おおむね全国的にも同様の流れとなりますので、ご参考にしていただければ幸いです。
昭和区で葬儀をご希望の方は、家族葬・一日葬・直葬 メモリアルホール川名にご連絡ください。
目次
遺体を棺に納める納棺の儀式とは?
遺体を棺に納めることを、葬儀業界用語で「納棺」と言います。
これを、儀式として実施する場合は、一般的に「納棺の儀」という名称になります。
誤解をおそれずザックリ言ってしまえば、納棺とは、遺体を棺に納めるだけのことです。
これを儀式として実施するか否かは、葬儀社の方針によって異なる場合が多いです。
一般的な納棺の儀の流れについては、後ほど解説をしたいと思いますが、まずは、そもそも納棺がなぜ必要なのか?についてご説明したいと思います。
遺体は棺に納めなければいけないの?
遺体を棺に納めなければいけない最大の理由は、棺に収まった状態でないと受け入れてくれない火葬場がほとんどであるという事が最大の理由になります。
一部の火葬場で「何かで包まれていれば良い」という話を聞いたことがありますが、真偽は不明です。
また、現実的に遺体のみの状態では、亡くなった場所から葬儀場への移動や、葬儀場から火葬場への移動の際がとても困難になります。
まず、遺体だけであれば、単純に持ち難い(運び難い)のはご想像できると思います。
また、遺体からは様々な液体が漏れ出る可能性が多く、衛生的にも心理的にも良いものではありません。
遺体が棺に入っていないということは、そうした問題が伴うために、棺に遺体を収めないまま葬儀~火葬をするというのは現実的ではないのです。
このように、まずは火葬場のルールとして遺体は棺に納められていないと受け入れてもらえない、そして現実的、衛生的にも遺体は棺に納められている方が望ましいという所から、遺体を棺に入れないという選択肢は、基本的にあり得ないと思ってください。
遺体を棺に入れずに火葬。例外
かなり特殊なケースですが、過去には遺体を棺に納めずに火葬を行ったケースもあります。
それは、
故人の身体が大き過ぎて入る棺がなかった
という理由からです。
棺には入れたものの、遺体の一部(腕)が干渉してフタをすることができず、フタ無しで火葬をしたというケースもありました。
棺は、おおむね全国共通で決まったサイズになっています。
よほど大型の物でも、全長で2メートルちょっと、横幅で65センチくらいの物までです。
もちろん、プロレスラーの方やお相撲さんなど身体の大きな方ですと、入らない場合もあります。
仮に特注で作ったとしても、今度はその棺を運ぶ霊柩車に積むことができない、そして肝心の火葬場の炉に入らないという問題も出てきます。
ちなみに前述のケースでは、特注で作った棺にご納棺して火葬場で一部を解体して炉に納めたり、棺ではなく板の上に載せただけで火葬をするなどの対策を行ったそうです。
※いずれも火葬場スタッフとの事前協議をしっかり行い、了承頂いた上での特例でした。
遺体を棺に納める納棺に種類があるの?
納棺の儀式には、種類があります。
多くの葬儀社では3段階程のグレードを設定して、納棺サービス提供しています。
納棺サービスの名称は葬儀社によって異なりますが、主に次の3種類になります。
・通常の納棺
・メイク納棺
・湯灌
それでは、それぞれの特徴と、金額の相場についても解説したいと思います。
通常の納棺
まず最初に、通常の納棺をご説明致します。
これは、旧来からある納棺の方式で、すごく簡単な納棺から、ある程度儀式っぽく行うパターンと葬儀社によって様々あります。
簡単に済ます場合は、それこそ、ただ遺体を棺に納めるだけになります。
これは、費用を抑えた葬儀プランを選択した場合や、直葬、無宗教葬の場合に選択される納棺の方法になります。
ただし、葬儀社によってはこの納棺サービスに力を入れている会社もあり、通常の納棺とはいえ、とても丁寧に儀式っぽく進行していただける会社もあります。
具体的な流れや作法は後ほど解説いたします。
費用としては、ほとんどの葬儀社では各種葬儀プラン価格に込みである場合が多く、「通常の納棺」として別途費用を必要とする所は少ないようです。
葬儀社によって「納棺」「簡易納棺」「略式納棺」などとサービス名を設定している会社もあります。
メイク納棺
メイク納棺とは、遺体を棺に入れるだけではなく、死に装束(旅衣装)への着せ替えや、お化粧、男性であれば髭剃りなどを施した上で、納棺をするサービスになります。
もともと、次にご紹介する湯灌サービスから派生したものと言われ、
「湯灌までは必要ない(予算がない)けど、見た目は綺麗にしてあげたい」
といった要望に答えるためにできとサービスと言われます。
また、葬儀プランやオプションのグレード設定(差別化)をするために、通常の納棺と湯灌の中間サービスとしている葬儀社もあります。
費用としては4万円~5万円程度の設定をしている葬儀社が多いように思います。
名古屋市昭和区にあるメモリアルホール川名では、このメイク納棺をご希望される方が一番多くいらっしゃいます。
湯灌
湯灌は、もともとあった通常の納棺の手順の中でも、「御身体を洗い清める」という部分をしっかり行うことを主にしたサービスになります。
具体的には、介護用の浴槽を遺体が安置されている部屋に持ち込み、電動ポンプなどを使用したシャワーを使って故人の身体を洗い清め、その後、死に化粧や着せ替えを行うサービスになります。
納棺の儀式の中では、最上級のフルサービスになります。
「長い間入院していて、ずっとお風呂に入っていなかった」
「お風呂が好きだったから最後にもう一度入れてあげたい」
といったご希望を叶えるサービスになります。
費用としては、7万円~10万円といった設定をしている葬儀社が多いでしょう。
余談ですが、湯灌サービスは多くの葬儀社では、専門の外部業者さんと提携し、実際に湯灌を執り行うのは外注の湯灌業者さんです。
葬儀社のスタッフが行うことはほとんどありません。
納棺の際の手順を解説
それでは、実際に納棺をする際の手順や作法などを解説して行きたいと思います。
葬儀社によってやり方が色々ありますので、あくまで一例として参考にしていただければ幸いです。
※納棺の手順や作法に、決まったルールはありません。全国的に統一されたものでもないため、地域性・執行する葬儀社によって手順や作法は大きく異なる場合があります。
納棺の手順① 末期の水
故人に末期の水を飲ませてあげます。
と言っても、当然亡くなっていますので実際に飲むことはできませんが、脱脂綿を先端に付けた割りばしや、枕飾りに使用している樒の葉を使って湯飲みの水をすくい、故人の口元に手向けます。
本来末期の水とは、亡くなる直前に飲ませてあげるものだったそうですが、それが叶わない事が多い為、こうして納棺の儀式の一部として取り入れている葬儀社が多いと言われます。
納棺の手順② 清拭(湯灌)
昔は亡くなった人を納棺する時に、家族がタライに逆さ水を作り、それで故人の身体を洗い清めた儀式を湯灌と言ったそうです。
逆さ水とは、通常とは逆の手順で作ったぬるま湯の事です。
一般的には、ぬるま湯を作るときは、お湯に水を足して調節しながら作ると思いますが、逆さ水の場合は、お湯に水を足して温度を調節します。
弔事では、通常とは逆にする作法を多用しますが、その一例と言えます。
しかし、実際の納棺の場ではなかなかそこまでは出来ないのと、湯灌サービスとの差をつけるために、簡易的な「清拭」と呼ばれるもので済ますケースがほとんどです。
清拭では、脱脂綿にアルコールを湿らしたものを用意し、参加した遺族に渡します。
そして、故人の身体の露出している部分だけで結構ですと言って、皆さんに拭いてもらいます。
納棺の手順③ 死に化粧・旅支度
女性の方であればお化粧、男性の方も髭剃りと共に薄化粧を施し、旅衣装(白装束)に着せ替えをします。
足袋・手甲・脚絆などを付け、経帷子と呼ばれる白い着物を着せます。
なお、メイク納棺や湯灌ではしっかりこれらの衣装を着せるところまで施しますが、通常の納棺ではそこまで行わず、体の上にかけてあげるだけのパターンが多いようです。
メイク納棺や湯灌との差別化をするために、そのようにしている葬儀社も多くあります。
納棺の手順④ 納棺
これまでの儀式や流れが済むと、遺体を棺に納めます。
この行為が、そのまま納棺と呼ばれる行為になります。
特にここでは儀式めいたことは行わず、複数人で故人の身体、もしくは故人を安置している担架布団ごと持ち上げて、棺に納めます。
最後に、葬儀社のスタッフが遺体保護用のドライアイスなど保冷剤をセットし、棺用の布団をかぶせて納棺の儀は終了となります。
棺の中に一緒に入れて良い物悪い物
ここまで、納棺の手順や作法について解説してきましたが、どんな納棺であっても共通するのが、副葬品についてです。
副葬品とは、故人と共に棺に入れてあげる物になります。
この副葬品は、故人の愛用していた物であれば何でも入れてあげたいという気持ちになると思いますが、入れてはいけない物もありますので注意が必要です。
棺の中に入れてはいけない物とは?
棺の中に副葬品として入れてはいけない物の代表格は、金属類になります。
理由は、火葬場で燃えないためです。また、溶けた金属が遺骨についてしまうこともあります。
燃えないだけでなく、火葬の熱で金属が溶け火葬炉や台にこびりついて、後の処理が大変になることもあります。
次にNGな品は、果物など水分の多いものです。
水分が多いため燃えにくく、また異臭を発生させる場合もあるようです。
そして燃える木製の物であっても野球のバットのように厚みのある物や、ボールも入れてはいけません。
厚みのある木製の物は、表面が先に炭化してしまい、内部まで燃えきらないことが多いので、火葬時間が延びる原因となります。
またボールは燃えている途中、炉の中で爆ぜて遺骨や施設を痛める恐れがあります。
指輪や入れ歯・差し歯はそのまま火葬しても良いの?
金属類を棺に入れてはいけないとお伝えしましたが、指輪や入れ歯・金歯といった差し歯は良いのでしょうか?
また、ペースメーカーや骨にボルトが入っている方もいらっしゃいます。
まず指輪についてですが、正直、その程度であればそのまま火葬してしまう事が一般的です。
ただし、形見として取っておきたいという希望の方は、なるべく亡くなった直後に外すようにしてください。
死後硬直や、ドライアイスによる凍結で取れにくくなりますので。
入れ歯・金歯については、そのまま火葬をして問題ありません。
ペースメーカーについては、火葬の最中に暴発する危険性があるため、分かっている場合は事前に葬儀社のスタッフの方にお伝えしておきましょう。火葬場に連絡して頂けます。
骨にボルトが入っている方は、特別申告は必要ありませんので、そのまま火葬をして大丈夫です。
遺体を棺に納める納棺の儀とは?についてまとめ
遺体を棺に納める納棺の儀式について色々と解説をしてきました。
納棺と一言で言っても、様々な方法や作法、そして費用があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
葬儀は多くの場合突然のことですし、専門用語もたくさん出てきます。
葬儀社の方に色々説明を受けても意味が分からない事も多いと思います。
いざという時に慌てたり困ったりしなくて済むように、頭の片隅にでも記憶していただければ幸いです。